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恋のごほうび02「ババロアたべたい」

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 確かに、塾に行きたいと親に言ってみました。
 「お金がもったいない」とか、「まだ一年生だからいいでしょ」とか言われました。「赤穂さんちの祐人くんに教わればいいじゃない」とも言われました。だからすっかり諦めて、ときどき祐人に聞きつつ自力で頑張ろうと思ったのに。
 何故、休日の昼間からわざわざ祐人が私の家に、というか部屋に来て勉強を教えてくれることになったのか。年頃の男女が部屋に二人きりとか心配してよお母さん!
「何で祐人も馬鹿正直に来ちゃうのよお……」
 勉強机で頭を抱える私。いまいち状況が飲み込めていない祐人。
「俺は余ったババロアを食べて欲しいだけなんだけど」
 そう言う祐人の両手にはババロアの乗った皿が乗せられている。どうやら私のお母さんが祐人のお母さんに頼んで、祐人のお母さんがババロアという口実を作って祐人をこの家に来させ、来てみれば「家庭教師お願いね」ということらしい。なんでそこまでするかな。
「ああ、もう……」
「ババロア要らない?」
「食べる」
 座ったまま手を伸ばすと、ババロアが突然遠ざかった。もう一つに手を伸ばしてみると、そっちも逃げていく。
「勉強したら食べさせてあげよう」
「は?」
 あくまで平坦な祐人の声。うっかりドスのきいてしまった私の声。
「せっかくだから教えるよ。今日は何やるの?」
 そんなことを言いながら、ババロアを棚の上に置いてしまう。仕方ないのでルーズリーフと筆箱を机の上に出す。
「どうしようかな。今日は英語の予習やるつもりだったけど、それじゃ教わることないし」
「理系科目だと嬉しいかな」
「じゃあ、化学」
「了解」
 祐人は私の隣に椅子を引き寄せて座る。その椅子は元々私の部屋にあった物ではなく、今日の朝お母さんが「置く場所がないからちょっと置かせて」とか言って持ち込んだ物だ。準備が良すぎやしないか。
「化学の何やるの?」
「えーっと」
 学校のワークをめくる。テストはまだ先だけど、どうせ課題でワークが出るから今の内にやっておくつもりだ。
「この間のテストが八十五ページまでだったから、八十六ページかな。ここ」
「酸化還元か。ここ苦手な人多いよね」
 しまった、ただでさえ苦手な化学の一番苦手な単元だ。
「や、やっぱり違うところやろうかな」
「苦手ならやらなきゃ駄目でしょ」
「うっ」
「ババロアのために頑張れ」
 何とも気合いの入ってない応援だ。まあ、祐人が教えてくれるなら何とかなりそうだけど。

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