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雨狐04「近くて遠い」

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 何となく家に帰る気がしなくて、コンビニの前で空を見上げていた。いつもなら雨が降り続くのが嬉しいのに、今は逆に気持ちが落ち込んでしまう。
 恋人ができて、就職して、結婚して。
 いつかコウのことを忘れてしまうなんて、考えられないのに。
「一番近そうなのは、恋人かなあ」
 呟いた声は雨音にかき消される。恋人ってデートとかキスとかして、いつも一緒にいて、コウに話すようなことは全部恋人に話して。頭とか撫でてもらって。頭を撫でるっていう行動は、上手くコウ以外の人と結び付かないけれど。年頃の女の子なんだからそのくらいは妄想できないと、とか思いながら必死で考えようとしてみるけど、どうもコウ以外にしっくり来ない。ましてデートやキスなんて。
 手をつないで、抱きしめて、キスして。
「あ、れ?」
 何か、おかしい。だってコウは友達で、いつも会いたいのはたまにしか会えないからで、何でも聞いて欲しいのはコウが真面目に聞いてくれるからで、寂しい顔をして欲しくないのは、大切な、
 大切な人だから。
「どう、しよう」
 改めて空を見上げる。雨はまだまだ止みそうにない。コウは、まだ神社にいるだろうか。
 
  *

 空を見上げて溜め息をつく。雨はまだ止みそうにない。ミフユはそろそろ家に着いただろうか。
 彼女を愛おしく思っていることに気付いたのは、名前をもらってからあまり経っていない頃だ。何にでも正面から向かっていって、その度に泣いたり笑ったりして、僕を頼ってくれる。思いを伝えれば、彼女はきっと受け入れてくれるだろう。
 だから、突き放した。友達になれたとしても、恋人には絶対になってはいけないから。それなのにもう後悔していて、いつまで経っても彼女の泣き顔が頭から離れない。
 もし、もしもまたミフユが来てくれたら。ミフユが僕を必要としてくれたなら。この思いだけは隠し通して、僕が必要でなくなるまで、彼女の傍に居続けよう。


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