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雨狐01「はじめての雨」

「雨狐」 時雨ハル
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 彼に初めて会ったのは、小学生だった私が家の近くで道に迷ってしまった時だった。どんなに歩いても知った道に出なくて、その上雨まで降ってきて、半べそをかきながら私は神社に駆け込んだ。
 神社といっても小さなもので人がいるのは行事の時だけだったから、当然建物の中には入れなかった。一人で泣きながら賽銭箱の横に座っていた私に、突然声をかけたのが彼だった。
「どうしたの?」
 驚いて顔を上げると、いつの間にか少年が隣に座っていた。彼はつり目がちの瞳で私の顔を覗き込んでいた。真っ直ぐに見つめる瞳はとても優しくて、私はまた涙を溢れさせた。彼は暖かく大きな手で、両親が私を探しに来るまでずっと背中を撫でてくれた。
 鳶色の髪に、白い肌。甚兵衛のような服を着た彼の、何よりもその瞳が印象的だった。つり目だけどきつい印象は与えず、正面から見つめてくる瞳。
 もう一度だけ彼に会いたくて、私は何度も神社に行った。けれどなかなか彼には会えなくて、いつの間にか暇な時を神社で過ごすことが習慣になっていた。



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