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はじめての約束04「はじめての約束(2)」

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「少なくとも僕にはそう聞こえました」
 何故かフィアスはまた何かを考え込む。話が予想外の方向に進み始めているが、どうしたらそれが止まってくれるのか考えもつかない。
「婿養子ならジルと毎日遊べるけど……お父様がだめっていうかしら」
「フィアス」
 思わず声をかけると、フィアスは顔を上げてこちらへ視線を向ける。自分が検討していた事項に対する疑問は全く無いらしい。
「とりあえず婿養子は諦めてください」
 もっとも重要なことから告げると、フィアスは唇を尖らせる。
「でも、そうしたらジルともっと遊べるのに」
 彼女にとって僕はあくまで遊び相手でしかないらしい。今のところ恋愛感情になりえないであろうことは残念としか言いようがないが、会いたいと言われて悪い気がしないのも事実だ。
「今のままでは不満ですか?」
「不満よ」
 初めて会った日から言葉遣いや動作は大人のものになりつつあるが、思考はまだまだ子供のままだ。そっと手を伸ばして、彼女の兄や父がするように髪を撫でてみる。フィアスは僅かな間だけ目を丸くして、それから心地よさそうに目を閉じてそれを受け入れた。
 子供だましでしか彼女を喜ばせられないのでは意味がない、と思う。けれど他に彼女を喜ばせる術も持っていないのは事実だ。
「ではいつか、あなたが好きなだけ僕のところへ来られるようにしましょう」
「ほんとう?」
「ええ」
「いつまで?」
 わざと曖昧にしていた時期を問われて、一瞬言葉に詰まる。百年以内、と返したらさすがに怒るだろうか、と思うだけで口には出さない。
「では、あなたが成人するまでには」
 それまでには忘れているか、この言葉が到底叶わないものだと気付いているだろう。そう考えた上での返事に、フィアスは不機嫌な表情を返した。
「そんなに待てない。あと七年もあるじゃない」
「……では、僕が成人する頃には」
 フィアスは少し考えて、「仕方ないわね」と頷いてみせる。思わず苦笑すると、フィアスが細い小指を差し出した。
「やくそく」
「はい」
 果たせない約束のために小指を絡めて、すぐに離した。


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